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Dolls…
第10章 美しき獣
人形屋敷。
地元の人ですら恐ろしくて近寄らない、不穏な噂が付きまとう不気味な屋敷。
地元の人の噂に耳を貸さず不純な動悸からこの屋敷に忍び込んで
人形のような男性に捕まって、体を弄ばれて
そのまま監禁されて、もうどれくらい━━━━━?
「一週間ちょっと…」
部屋に飾られた卓上カレンダーを見ながら1人でそう呟いた。
一週間ちょっと…、厳密に言えば9日ぐらい。
ベッドに寝転びながら窓の外に目をやると、鉛色をした空が見えた。
遠くで雷鳴も聞こえる。
今日は雨でも降るのかな…。
1人で食事をしたあの日から丸2日、椎葉さんとはマトモに顔を合わせていない。
私の部屋に様子を見に来ることはあるが、以前のように椎葉さんの顔や目がちゃんと見れない。
逃げようと思えば逃げられる状況にあるが、時たま顔を覗かせる椎葉さんがまるで私を見張ってるように思えて逃げる決心が着かない。
逃げたとバレたら何をされるかわからない。
…梓、どうしてるかな?
私の事、心配してるかな…?
警察に通報でもしてくれてたらまだ助かる望みはあるけど…。
ゴロゴロと唸る空。
この屋敷に来てから見る初めての雨だ。
だけど、田舎育ちの私は知ってる。
山奥で感じる雨がどれだけ恐ろしいか…。
どういう訳かこの部屋には時計がない。
今が何時かもわからない。
空は鉛色で厚い雲に覆われてるせいで空模様すらわからず、夕方かどうかを見分ける事も儘ならない。
いつもこうして絶望と不安を感じながら1日を過ごしている。
不思議と退屈はしなかった。