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Dolls…
第26章 Dolls…
「あの子、いつも山の方へ行くけど…、まさかあの不気味な人形屋敷の…」

「そんなわけないじゃない。あんな若い子があんな不気味な豪邸なんかに!きっとこの山奥に家があって、そこでお爺さんかお婆さんの面倒を見ながら暮らしてるんじゃない?」

「ならいいけどね。あの人形屋敷に近づいたら祟りがあるって言うし…。一体あの屋敷には誰が住んでるのかしら?無人と思ってたけどたまに灯りが点いてる事もあるしね」


若い主婦の脇を通り抜けて、私は山へと急いだ。

私を待ってくれてる人の元へ急ぐように。

勾配な坂道も苦にならないかのように足取りも軽やかだ。






「あぁ、あの人形屋敷の住人についてはいろいろ噂があるわよ。都市伝説みたいなもんかしらね。でも、最近聞いた噂は━━━━━」











あの人を、誰の目にも触れさせない。

あの人を写していい瞳は、私の瞳だけ。

そして、あの人の瞳に写るのも私だけ。

あのガラス細工のような瞳に…。


そして、私はその瞳に囚われてる。

それは、私の意思でどうしようもない力の支配。


















「あの人形屋敷には、この世のものとは思えない美しい夫婦が沢山の人形に取り囲まれて生きてるって」






















━━━━━ガチャ




「…ただいま、秋人さん」

「おかえり、椿」

















私はあなたに囚われる。

そして、あなたは私を囚えてる。








いつまでも。















~FIN~





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