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Dolls…
第11章 人形の瞳は…
お風呂って…。
確かにこの雨の中を走って来たであろうシュウちゃんの体はびしょ濡れで
出来ればお風呂に入れてあげたいとは思っていたけど。
てっきり椎葉さんはシュウちゃんに殴りかかるんじゃと怯えていただけに驚きもそれなりだ。
「い、いいんですか?お風呂…」
念のためにもう1度確認してみると
「あぁ。構わない。俺は今手が離せないんでな。修也君だったか?ゆっくり休んでくれ」
「あ…、え…」
椎葉さんの申し出にシュウちゃんも戦意を失ったのか、声が上擦っている。
そう言うと椎葉さんは私の部屋から出て行ってしまった。
心無しか一瞬、笑顔が見えたような気がしたが…。
━━━━━バタン
その場に残された私とシュウちゃん。
だけど、それぞれが不思議な気持ちに陥っていて情けないキョトン顔のままその場に固まってしまっていた。
「あ、あの人は…、何だ…?」
シュウちゃんは出しかけた拳と怒りの矛先に困ってるようだった。
私だって混乱してる。
「あの人は…、その…っ」
「俺、喧嘩腰で喋ってマジで恥かいた…」
私だって、いつ椎葉さんが怒り出すかと怖かった。
だけど、椎葉さんって、あんなに穏やかな人だったかな?
無愛想なのは仕方ないとしても、あんなに他人を思いやれる人だったかな?
不法侵入者のシュウちゃんにあんな優しい言葉をかけるなんて…。
でも、シュウちゃんだって好きで不法侵入したわけじゃない。
誰かが住んでるとわかればチャイムを押しただろうし、それに何よりシュウちゃんは私の幼馴染みだ。
モデル目的で閉じ込めてるとは言え、同居人である私の幼馴染みなのだから少しだけ気を使ってくれたのかも。