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Dolls…
第13章 暖かな腕の中
━━━━キィッ
浴室のドアが開き、中から一気に湯気が立ち込め脱衣場はたちまち湿気に包まれて行く。
「すいません、長居しちゃって」
浴室からシュウちゃんが笑顔で出て来た。
咄嗟に付いた椎葉さんの嘘を真に受けて椎葉さんを待たせてしまったことを詫びている。
ここは椎葉さんの屋敷だから。
「いや、こちらこそ急かして悪かった。着替えを持ってきた」
「あ、いろいろとすいませんっ!」
棚にかけて置いたバスタオルを頭から被り豪快に頭をわしゃわしゃと拭き始める。
「ところでさっき椿が来ませんでした?声が聞こえたような気がしたんですけど…」
今、この脱衣場にいるのはシュウちゃんと椎葉さんだけ。
私の姿はここにはない。
椎葉さんは口許を緩めながら…
「さぁ。来てないが?」
「ですよね!まさか、男の入浴を覗くなんてね」
━━━━はぁ、はぁ、はぁ…。
体が燻ったみたいに熱い。
あれだけ抱かれたはずなのに、まだ熱を帯びてる私の体。
そして…
━━━━━キィッ
「それじゃあ、また後で…━━━━って、椿?お前、こんなとこで何してんの?」
脱衣場の扉を開けてすぐの廊下。
私はその廊下で、壁にもたれかかるようにして座り込んでいたのだ。
「は…、べ、別に…」
椎葉さんの欲を全身で受け止めた私は、脱衣場にあるタオルで全身にまとわりつく体液と汗を拭き取り
椎葉さんが浴室にいるシュウちゃんを呼びつける前に…、シュウちゃんに見つかる前に脱衣場から逃げ出していたのだ。
しかし、今の今まで抱かれ続けた体。
すぐに起き上がって歩ける状態じゃなくこの場にうずくまってしまっていたのだ。