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Dolls…
第20章 別れの背中











私はただ、椎葉さんの気持ちが知りたかっただけ。














「秋人、お前どういうつもりだっ!?」

「何の事だ…?」



私を慰めた後、安藤さんはその足で椎葉さんの作業部屋に向かった。

その足取りは怒りを露にするかのように地面を踏み締めながら。

作業部屋に着くなり机に向かい作業をする椎葉さんの背中に安藤さんの怒鳴り声が響く。

椎葉さんは安藤さんの怒鳴り声を何事もなかったかのように受け流している。



「椿ちゃんの事だっ!!お前、椿ちゃんに…」

「事実を言ったまでだ」


安藤さんの方を振り返らず机に向かって黙々と作業を続けている。

人形のパーツを専用の彫刻刀で彫っている。

「事実って…。せっかく椿ちゃんが…っ」

「俺にどうしろって言うんだ?」

「ど、どうにかしなくても…、気持ちを汲んでやることぐらい…っ。あんな酷いこと言わなくても…っ」

安藤さんの声に動揺が見られるが椎葉さんは動じない。

それどころか安藤さんの台詞を眈々とした答えで返していく。

安藤さんの台詞を遮るように、答えを用意してたかのように。


「そもそも尚人、お前が何で椿の部屋に?」

「椿ちゃんの背中の傷が心配だったから様子を見に行っただけだ」


そして、夕方になり私の部屋に様子を見に来た安藤さんが部屋で放心状態だった私を見つけたのだ。

放心状態というより、まるで壊れた人形みたいに覇気のない表情で座り込んでる私を…。





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