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Dolls…
第22章 遠い街角
その日、私は安藤さんに連れられて自室へ戻りそのままベッドに潜り込んで眠りに落ちた。
と、言ってもロクに眠れなかったけど。
浅い眠りのまま夢を見る暇もなく気づけば窓から朝日が差し込んでいて鳥の囀りまで聞こえている。
朝か…。
見上げた天井には大きなシャンデリア。
体を起こし周りを見ると、この部屋は人形だらけ。
目覚めたとき、何度も何度も夢であれと願ったこの広い部屋。
この部屋とも、もうすぐお別れだ。
恐らく、この部屋で朝を迎えるのも今日が最後だ。
昨晩、椎葉さんに嫌われた私はその足で安藤さんの部屋に向かい、安藤さんに
"今すぐここから連れ出して"と、助けを求めた。
この屋敷にいれば嫌でも椎葉さんに会ってしまう。
この屋敷の至るところに椎葉さんとの思い出か残ってる。
そんな思い出がこびりついた屋敷に一分一秒だって長くいたくない。
そう思ったからだ…。
安藤さんに連れられて部屋に戻ったあと、私は心の何処かで椎葉さんを待っていた。
私の事は嫌いでもいいから、人形のモデルとしてまた私を抱いてくれるんじゃないかって…。
そんなバカな期待をしていた。
だけど、そんな期待は淡く消されてしまった。
椎葉さんはもう2度と…。
そう考えた瞬間、起き抜けの瞳に再び涙が滲んだ。
その涙が瞳から溢れようとした時。
━━━━━ガチャ「……おはよう」
突然開かれたドア。
ハッとして顔を上げると、そこにいたのは安藤さん。
「あ…っ、お、おはようございますっ!」
「ごめんね。勝手に入って。ノックしようとしたんだけど、起こしたら不味いと思って」