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Dolls…
第23章 危険な香り
シャワーから放出されるお湯が私の髪を濡らし、顔の輪郭を伝い、頬を流れ、首筋や肩を流れ、胸元や腰を流れて、足を伝って流れ出す。

椎葉さんに触れられたところ全てを伝いながら。

だけど、例えこれで汚れは落とせても体に染み付いた余韻までは消せない。

椎葉さんの…、痕跡…。

頭や心にこびりついて離れない椎葉さんとの…。



「…………っ」



私の手が無意識に下半身へと伸びる。





体は覚えてる。

例え小さな欠片ほどの記憶しか残らなくても、それを思い出すだけで…。




「あっ、あ…っ」





椎葉さん…、椎葉さん…、椎葉さん…っ。






椎葉さんの指じゃない…。

これは、椎葉さんの指じゃないのに

椎葉さんの事を思い出すだけで…。








「は…、ぁっ」









浴室に充満する湯気で蒸せ返る。

熱くて熱くて頭がボーッとして上手く働かない。

椎葉さんの事を思い出しながら自分で自分を慰めてる。

…私は、最低だ。









「は、んっ!し、椎葉さ…っ━━━━━」










「椿ちゃん。ちょっといい?」











━━━━━━━ビクッ




浴室のドア越しに聞こえた安藤さんの声。

その声に私の体がビクッと驚いた。




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