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Dolls…
第24章 秘密の人形
あの日の夜から椎葉さんには会ってない。
声すら聞いていない。
部屋の固定電話は外されてしまったから安藤さんが椎葉さんと連絡を取ってるとするなら携帯電話ぐらいだろう。
「あれから、何か連絡は…?」
「さぁ。あれから連絡取ってないから」
「…そ、ですか…」
あの日椎葉さんは、私の様子が知りたくて安藤さんに電話をかけてくれた。
少しだけ私の事を気にかけてくれてるんだ。
なのに、私は…。
「いいじゃん、秋人の事は…」
…安藤さんにしてみればどうでもいいことかも知れないけど、私にとってはどうでも良くない。
私は椎葉さんが好き。
そして、その事は安藤さんもよく知ってるはずなのに。
違う誰かを愛してる女をそばに置いたところで虚しいだけなのに。
私は、奈々さんじゃないのに。
「もうすぐで食べられるから椿ちゃんは席に付いてて」
…昔、実家にいた時はすき焼きの香りを嗅いだだけで食欲が湧いたはずなのに
今はただ、気持ち悪い。
西日の差し込む台所で、私は軽い目眩に襲われていた。
エゴにまみれ、常識はずれの事を仕出かした安藤さんの背中を見つめながら私はずっと椎葉さんの事だけを考えていた。
私は奈々さんにはなれないし、安藤さんのものにもなれない、と。
台所に立つ安藤さんの背中を眺めながら私は言葉にならない哀しみを心に抱えていた。
止まったはずの涙が再び溢れそうになる。
声すら聞いていない。
部屋の固定電話は外されてしまったから安藤さんが椎葉さんと連絡を取ってるとするなら携帯電話ぐらいだろう。
「あれから、何か連絡は…?」
「さぁ。あれから連絡取ってないから」
「…そ、ですか…」
あの日椎葉さんは、私の様子が知りたくて安藤さんに電話をかけてくれた。
少しだけ私の事を気にかけてくれてるんだ。
なのに、私は…。
「いいじゃん、秋人の事は…」
…安藤さんにしてみればどうでもいいことかも知れないけど、私にとってはどうでも良くない。
私は椎葉さんが好き。
そして、その事は安藤さんもよく知ってるはずなのに。
違う誰かを愛してる女をそばに置いたところで虚しいだけなのに。
私は、奈々さんじゃないのに。
「もうすぐで食べられるから椿ちゃんは席に付いてて」
…昔、実家にいた時はすき焼きの香りを嗅いだだけで食欲が湧いたはずなのに
今はただ、気持ち悪い。
西日の差し込む台所で、私は軽い目眩に襲われていた。
エゴにまみれ、常識はずれの事を仕出かした安藤さんの背中を見つめながら私はずっと椎葉さんの事だけを考えていた。
私は奈々さんにはなれないし、安藤さんのものにもなれない、と。
台所に立つ安藤さんの背中を眺めながら私は言葉にならない哀しみを心に抱えていた。
止まったはずの涙が再び溢れそうになる。