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Dolls…
第26章 Dolls…




































━1年後━


















「椿!一緒に帰ろう!」






私の背後から、私を驚かすように声をかけてきた女性。

それは、この学校で同じクラスになった女の子、本城 茜-ほんじょう あかね-ちゃん。

「うん。帰ろう」

柔らかなショートカットがよく似合うとても可愛らしい友人だ。





「ねぇ、課題の画、もう描けた?」

放課後、生徒で賑わう廊下を歩きながら私に問いかける茜。

「全然。なかなかアイデアが思い付かなくて…。茜は?」

「私もダメ。今はアルバイトで手一杯…」

「茜は独り暮らしだもんね」




あれから、私は勉強に勉強を重ね、目標であった美大に合格した。

私は晴れて、念願だった美大生になれたのだ。

夢が叶い今は毎日が充実している。

こうして大好きだった絵の勉強が出来ているのだから。

しかし、現実は甘くなく、毎日毎日周りとの実力の差を感じて落ち込んだりもしている。




「でもさ、この間のコンクールで椿が応募した絵!凄く評判良かったね!掲示板にまで張り出されてたじゃない!」

「そうだっけ…?」

「そうだったよっ!ほら、あの…、古城に素敵な紳士が佇んでる絵!」





とぼけた振りをしながらも、私はちゃんと覚えていた。

茜が言う掲示板に張り出された私が描いた絵。

それは、中世の古城と湖、その古城を見上げながら寂しそうにこちらに背中を向けている紳士が佇んでる絵。





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