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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第4章  【弐】
「一体、何事でしょうね」
 橘乃は込み上げてくる吐き気を堪え、首を傾げた。浪江が気を利かせて、打掛をそっと肩からかけてくれる。
「お薬だそうにございます」
 浪江が言い、丸盆に載せた湯呑みと粉薬を差し示す。
「薬―」
 呟く橘乃を、浪江が窺うように見る。
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