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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第5章 【参】
 しかし、春瑶院には久しぶりに再会した息子と愉しく語らうつもりなど、さらさらないらしい。コホンと小さな咳払いをすると、上目遣いに嘉宣を見上げた。
「ところで、殿には随分と羽目を外されておるようですね」
 掬い上げるようなまなざしで見据えられ、嫌な眼だと嘉宣は内心、悪態をつきたい気分になった。
 が、そこは大人、穏やかに応える。
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