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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第5章 【参】
「わ、私のことはこの際、どうでも良いッ。よろしいか、嘉宣どの。たとい三万石の小藩といえども、木檜氏は権現さまの御世から連綿と続いてきた由緒あるお家柄。その家の当主が正室も娶らず、身分の低き女子一人に溺れているとあっては武門の名折れにござりますぞ」
 春瑶院も相当に激しているのか、語尾が震えている。
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