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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第6章  【四】
 手招きすると、琴路は顔を伏せたまま膝行してくる。
 春瑶院は近寄ってきた琴路の被っていた頭巾をいきなり外した。
「あっ」
 琴路が小さな叫びを上げる。頭巾の下から現れたのは、まだ若い女だった。二十歳にもなってはいないだろう。しかし、春瑶院ですら、何故、このような取り立てて美しくもない女に嘉宣の手が付いたのかは解しかねた。
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