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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第6章 【四】
春瑶院の動きは素早かった。その日のうちに時雨を捕らえさせた。時雨は酷い拷問にかけられたが、口を割ることなく一昼夜にわたる責め苦に耐え抜いた末、自ら舌を噛み切って生命を絶った。訓練された影であれば、当然のことだ。
どの道、任務に失敗すれば、口封じの意味も兼ねて殺されるのだ。敵方に捕らえられた時点で、時雨の命運は既に尽きていたのだ。
だが、春瑶院にとって、影の一匹や二匹、いなくなったところで、痛くもかゆくもない。
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