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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第6章  【四】
 筋書は十分。役者も揃った。後は最後のとどめを刺すばかり、それで今回の茶番はすべて終わり、舞台は終わる。
 春瑶院は今こそ、ひたすら憎み続けてきた男に復讐の瞬間が来たのだと思った。憎しみと同じだけ、いや、憎しみよりも更に深く、深く愛した男。
 彼女の瞳に、亡き良人の貌が甦る。
 春瑶院が誰よりも愛し、そして憎んだ男。
―さようなら、あなた。
 これでやっと楽になれる。憎しみから解き放たれ、私は自由になれる。
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