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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第6章 【四】
その日は寒い一日となった。
前日から降り続いた雪は朝には一旦は止んだものの、昼過ぎから再び降り始めた。
橘乃にとっては、最後の仕上げとなる日、運命の日となるはずの日だ。水気をたっぷりと含んだ牡丹雪はさらさらと降り注ぐ。
重たげに花をつけた椿の樹の花や葉の上に白い雪が薄く積もっていた。
橘乃は凍てつく寒さにも拘わらず、部屋の障子を開き、庭を眺めるともなしに眺めていた。
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