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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第7章 【終章】
 橘乃の死を知った翌日、嘉宣は自ら願い出て英泉寺の住持日照を導師として剃髪した。
 号は宣照(せんしよう)。時にまだ二十歳の若さであった。
 木檜藩の十四代藩主は分家から十歳の万菊丸を迎え、万菊丸改め嘉淑(よしひで)が継ぐ。
 嘉宣―いや、今は僧形となった宣照は静かに庭に降りた。沓脱石に置いた草履を履き、ゆっくりと庭を歩く。出家してから後、宣照の行動の自由は大幅に認められた。寺の外へ出ることは叶わなかったが、山内ならば自由に出歩くこともできた。
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