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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第3章 【壱】
 嫁ぐ日を間近に控えた若い女らしい心の華やぎが溢れている。けして美しいとはいえない姉だが、頬を赤らめて恥じらうその姿は微笑ましい。
「姉上が嫁がれては淋しくなりまする」
 これもありのままの想いを吐露したにすぎない。嘉宣の洩らした何げない言葉に、輝姫の白い面が翳った。
 が、すぐに、にこやかに微笑み、弟をからかうような口調で返す。
「嘘をおっしゃるのもほどほどになさいませ」
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