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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第3章 【壱】
「姉上もつい今し方、仰せになられたではございませぬか、一日も早く妻を娶り、子をなして人並みの家庭と呼べるものを作れと」
「それとこれとは話が違いましょう。橘乃を妻にというのならともかく、一時の気紛れで慰み者にするおつもりなのを黙って見ているわけには参りませぬ」
「一時の気紛れなどではござらぬッ」
 押し問答が際限なく続く。嘉宣は懸命な面持ちで懇願した。
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