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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第3章 【壱】
幸之進の整った若々しい横顔がかすかに強ばっている。無理もない。誰だって、突然、あんな話を言い出されたら、動揺するに決まっている。
しかし、幸之進の動揺を見ても、橘乃の心は少しも揺らがなかった。ただ、心を掠めたのは、わずかばかりの罪悪感だった。
幸之進のことは兄のように慕っていた。好きかと問われれば、迷いなく好きだと応えることができる。でも、それは、男性として認めた上での気持ちではない。あくまでも、兄か親戚の従兄に対するような親近感だ。
しかし、幸之進の動揺を見ても、橘乃の心は少しも揺らがなかった。ただ、心を掠めたのは、わずかばかりの罪悪感だった。
幸之進のことは兄のように慕っていた。好きかと問われれば、迷いなく好きだと応えることができる。でも、それは、男性として認めた上での気持ちではない。あくまでも、兄か親戚の従兄に対するような親近感だ。