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第8章 もっと狂おしく

女がエンジンを掛けたらしく、その音がこちらまで聞こえてくる。

それからドア・ウインドーが下ろされて女が顔を外に出すと、二人は軽く談笑をした後でキスをした。

そして女の車が駐車場を出て行く。

「あ～あ、とうとう見ちゃったぁ。あっ！」

旦那がこちらを向こうとしたのでまた麻由美は身を隠す。正面から見た旦那はイケ面でカッコよく、正直、見た目は負けたと瞬時に思った。

「あんなの見せられてショックじゃないの？」

「ぜんぜん」

「かっこいい人じゃない」

「パッと見はね。でも、わたし、バカな男は嫌いなのよ。自分がバカだから」