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水蜜桃の願い
第4章 動き出した刻
──声。
動きを止め、手を伸ばした先。
──声が聞きたい。
彼女の両手首を掴み、離させた。
解放された口元からは、はあはあと荒い呼吸が発せられている。
静かに開いた彼女の目。
そのままベッドへと縫い止めるようにした。
見下ろすその顔。
火照らせ、髪は乱れて頬にかかって。
俺を見つめる、 涙をたたえ潤んだその瞳。
そして微かに開いて、甘ったるく色づいた息を発している赤く艶めいた唇。
──触れたい。
その衝動は抑えられるようなものではなかった。
思った瞬間に勝手に身体が動いていた。
両手を彼女の頬に寄せ、頬の髪をよけさせ、覆い被さるようにして顔を近づける。
「……せん、せ────」
言いかけたその唇を、塞いだ。
柔らかな感触。
ただただ、気持ちよくて。
その感覚は頭の中をさらにとろかせる。
不意に背中に回された彼女の腕。
俺をさらに自分の身体に引き寄せるようにして、ん……とねだるように鼻を鳴らす。
舌を伸ばすとすぐに察して、開く唇。
その口内に忍ばせた舌に、彼女は躊躇わず自らの舌を絡ませてくる。
甘い息は絶えず漏れている。
苦しそうな呼吸なのに、俺とのキスはやめたくないと言わんばかりに積極的に求めてくる。