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二人の距離は350m
第9章 【伊丹 side】
「先生は渡しませんよ」

僕を背中に庇うように、目崎さんは貴美さんと対峙した。

…完全に男女の立場が逆な気がする。

「そうね、残念だけど私の入り込む隙はなさそうだわ」

貴美さんは艶やかに笑ってバッグに手を入れ、
「上に部屋をとってあるの。このまま彼を連れ込んで朝まで楽しむつもりだったけど、貴女に譲るわ」
ホテルのカギを目崎さんに差し出した。

うわあ…もしかして僕は色事に積極的な女の人にしか好かれないのだろうか?



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