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二人の距離は350m
第7章 本当の気持ち
「分かった、分かったから妻にバラすのだけは勘弁してくれ」
よほど妻が恐ろしいのだろう、すっかり怯えた巳道は土下座して許しを乞うた。
制服のホコリを払い、露葉は無言で指導室を後にする。
平静を装えたのはトイレの個室に入るまでで、タイルの冷たい床に膝からくずおれた露葉はカギもかけずに洋式便器を抱え込むようにして嘔吐した。
(気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い!)
巳道に掴まれた手首の痛みや、のし掛かる体の重さ、タバコ臭い息づかいも何もかもがおぞましく耐え難い記憶だった。
よほど妻が恐ろしいのだろう、すっかり怯えた巳道は土下座して許しを乞うた。
制服のホコリを払い、露葉は無言で指導室を後にする。
平静を装えたのはトイレの個室に入るまでで、タイルの冷たい床に膝からくずおれた露葉はカギもかけずに洋式便器を抱え込むようにして嘔吐した。
(気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い!)
巳道に掴まれた手首の痛みや、のし掛かる体の重さ、タバコ臭い息づかいも何もかもがおぞましく耐え難い記憶だった。