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タンバリンでできたオーロラ
第8章 魔砲兵姫ニミット2

「馬鹿を言え! おぞましい! 魔物に使われる武器になど誰がなるものか!」
「ならばここにいるお前の国の民達を皆殺しにするだけだ」
「ぐっ……」
「どうする? 我が軍門に降るのであれば、民の命は助けてやろう」
ザナルが残忍な笑みを浮かべて広場を見渡した。ニミットもまた自分に向けられた、やり取りを見守る民達の脅えた、すがる様な視線を痛いほどに感じた。
「ニミット様ぁ……」
「ああ、お慈悲を……」
祈るようなつぶやきが耳を打つ。
(ああ……私には、他に選ぶ道はないのだわ……)
目を閉じ、耐えがたい想いを鎮める。それには思ったより時間がかかった。
再び目を開いたとき、その眼差しの先には空を赤く染めて沈みゆく太陽があった。

