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らぶあど encore!
第9章 ライヴ=人生?④
野村もピアノに合わせて華麗にリズムをベースで刻み、三広はスティッキを回しながら速打ちでスネアを叩く。
亮介は頭の上で大きく手拍子をして客席を煽った。
祐樹は全身を揺らし、髪を乱しながら、だが指先は正確に華やかに旋律を奏でる。
「この曲は……」
ほなみは思わず呟いていた。
会場の手拍子が次第に大きくなり、バンドのアンサンブルが最高潮に高まった瞬間、パアンという爆発音と共に一階フロアーに銀テープが発射される。
二階には残念ながらテープは届かないかと思われたが、最前列の方まで飛んできて、ほなみは手を伸ばしヒラヒラと舞うテープを捕まえた。
祐樹はその瞬間を見ていたかの様に、ほなみの方を指差して叫ぶ。
「――俺をちゃんと見てろよ!?
……"恋をさらって"!」
「――――!」
ほなみが瞳を潤ませると同時に会場は大歓声が起こり、客はテープを手にステージに拳を突き出して熱狂する。