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らぶあど encore!
第9章 ライヴ=人生?④
自分が洋平を身籠った時の事が甦る。
妊娠を知らせた時の史の冷たい表情、浴びせられた思いやりの欠片も無い暴言。
始めての胎動を感じた時、景子は一人だった。
誰も、喜びを分かち合う人は居なかった。
景子は、喉の奥に違和感を覚え軽く咳払いをするが、頬に涙が伝っているのにようやく気付く。
――どうして?
どうして、今私だけがこんな事を思い出さなくてはならないの?
次から次へと溢れ出す、過去の記憶を遮断しようとステージのメンバーの動きに集中しようとするが、生き生きと動く彼等と客達を見れば見るほど、自分がその場に似つかわしくない存在に思えてくる。