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らぶあど encore!
第32章 言葉に出来ない
景子の強張る顔を見て、史も背後を振り返った。
瞬間史の端正な口元が歪み、背中に冷たい汗が流れる。
景子と史は同時に身体を大きく震わせてお互いの腕を離した。
史は景子を庇う様に前に立ち、大きな溜め息を吐いてから一歩足を踏み出した。
張り詰めた空気が辺りに充満し、景子は息を止めてしまう。
史は軽く頭を下げ、言った。
「……いつかは俺のバンドのライヴを見に来て頂いて……ありがとうございました……」
「お前ら、どういう関係なんだ」
痛い程の緊張でピリピリと胸と耳が痛む。
景子は低く涼やかな声の主の方を向いてゆっくりと顔を上げた。
「綾波……さん……っ」