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新月
第4章 夢の出来事
(…寝よう。…寝なければ。
寝てしまえば忘れるかもしれない!!)
そう思って、目を硬くつむるが、興奮した頭では眠る事などできず、
横の部屋から何か聞こえてくるかもしれない…と、
興奮を抑えることに必死だった。
しばらくすると、
横の部屋の襖が開く音がし、
トストストストス…と、奥屋敷から遠のいていく足音が聞こえた。
誰か、美月の部屋から出ていったのだ。
そうわかると、ハァと、息を漏らす。
何故か、禁忌をみたような気分になり、息を止めていたのだ——。
一息つくと、
スゥ
と、自分の襖の開く音が聞こえた。
(え?!)
チヨはびっくりしたが、起きるわけにもいかず、寝たフリをした。
襖の場所にいるのは、誰??
見たいが、目を開けるわけにもいかず、
鼓動が速まるのを感じる——。
「チヨ………」
掠れた声で、呼ばれた。
ドキドキしながら、固まっていると、
襖はまた、スゥと閉じて、
横の部屋に戻っていった………。
チヨの部屋に、
藤の花の香りを残して………