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新月
第9章 違和感
ドクドクドクドク…。
チヨの心臓は、慌ただしく音を出し続ける。
(ど、どういうこと??)
チヨの頭の中はぐちゃぐちゃだ。
(さっき、旦那様は、誰か違う名前を呼んでいたわ。
…もしかして、違う方が美月様の部屋にいたの??)
いや
でも、
あの美しい声は、毎日聞いている、美月の声だ。
布団の中で、興奮していると、
———スゥ。
(っっ!!!!)
チヨの部屋の襖が開いた。
チヨはまたもや動けない。
「……チヨ……」
大きくはない、
しかし、小さくもない、呼び声に、
チヨはビクっと反応した。
美月は、チヨが起きているのに気づいているのか、いないのか、
動かず、廊下に佇んで、動かない。
———フゥ……。
美月の吐息が聞こえ、
スゥ
と、襖が閉められた。