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狐面の男に 愛されまして
第6章 かくかくしかじか 幸せでして


「サチ……!」

「……」

「こっち向いて」

「…や、ふふッ」


口許に手を添えて肩をすぼめた彼女は

一瞬の沈黙を挟んで…次の瞬間、勢いよく駆け出した。


「──…!」


その走り方は慣れていないと形容するしかなくて、背後から見届けるシュウは、呆気に取られると同時に心配になる。


木の根につまずいて転びそうになった彼女をハラハラと見つめていた。



「気を付けるんだよー!」


「…うん」



鞄が肩からずれ落ちる。


それをしっかり固定しながら、全力で走るサチの姿は林の奥に消えていった───。

















『 狐面の男に 愛されまして 』完



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