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狐面の男に 愛されまして
第2章 不審な男に 絡まれまして

尖ったその顔には、鼻も口もなくて
たぶん髭が三本ずつ横に生えていた。

スタ スタ スタ

もはや彼女は見向きもしないが…。


「ま、待ちなさい!こっち見たよね!? 見たよね!?」


頭に直接響いてくる声は、無視されたことで耳障りな音へと大きさを変えてゆく。


「……。(ミテナイ)」

「見たよねっ」


彼女は嫌な汗をかいていた。


何故ならここは、三階だから。



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