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狐面の男に 愛されまして
第2章 不審な男に 絡まれまして


「無視はやめなよ、見えてるんだろう!? 僕の…」

「──…っ」


“ あなたなんか、見えない── ”


関わらないでほしい。

真横の窓からひょっこり出てきたその顔に、サチは持っていた筆箱を投げつけた。



「…ハァ」


「えっ、何してんの…!?」


「──…っ」



彼女のその行動に驚いたのは、窓の外の顔ではなくて。


「どうしたの?」

「…不思議ちゃんがいきなり、っ…筆箱を窓の外に投げたんだけど」

「…は?なにそれ」

「ここ三階よ?」


ガヤガヤと騒ぎたつ廊下。

集まる視線。

不気味なものを見てしまったかのように、周りの生徒は声をひそめ、遠巻きに彼女を観察していた。


不思議ちゃんは

教科書を抱き締めて階段を下りていった。



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