この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
刺繍のような詩集のような。
第8章 掌(二次創作/ピンポン/非官能)




僕にとって、ペコはヒーローだった。
最初から、彼はヒーローだった。
最初から、彼が、ヒーローだった。
だから、彼と戦うだけで、僕は幸せだった。
彼と戦える場所があることが、幸福なことだと感じていた。
グリップを握って、ペコに教えられたことを思い出していた。
卓球は、彼のものだと思っていたから。
僕のものは、卓球の世界じゃなくて、この、掌の中の小さな世界だと思っていたから。
だから、僕がしたかったのは。















「そんなんじゃダメだ」
少年が落としたピンポン玉の音に、僕は立ち上がって上着を脱ぐと少年に近寄った。
「玉を乗せる手は力を入れないで。……そう。脇をしめて」
ペコに教えてもらったことを伝える。
ペコの世界を、少しだけ覗き込む。
ペコが目指す一等賞の意味を、少しだけ知ろうとしてみる。
「出来る?」
少年が頷いて、卓球台に玉をバウンドさせる。
それを見て、僕は小さく頷く。
それでも、ペコの言葉の意味は本当には分からない。















それは卓球がペコの世界だから。
ペコの居るべき、場所だから。
















僕がしたかったのは、卓球の世界に居ることじゃなくて。





この掌の中の世界から――――――。






/24ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ