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8月の月
第10章 月
あなたは月を自分に例えた。

静かに夜空に浮かび、
神秘な光を放って輝く月。

確かにあなたはそんなイメージよ。
感慨深く月を眺めると、
あなたとの幸せな過去が蘇ってしまう。


月は切なくも、
私の情緒そのものの映し鏡。



人はなぜ、
こんなに好きな人とも別れてしまうんでしょ?

運命には逆らえないからでしょうか?


心の引き出しをそっと開けて、
あの頃を懐かしむ。


戻らない過去は、
私の心の中で永遠の線香花火となる。


真夏の月明かりの元、
線香花火を手に持ち、
真っ赤に燃える先端を落とさないように、
今も大事に灯す。


簡単に落とせるような恋ならば、
引き出しに鍵をかけて、
永遠に仕舞い込む事でしょう。




そんな恋をした私は、
永遠の安息を求め、
終わらない恋を選び、
あなたに見えない場所で幸せに暮らしてます。



私と別れたあなたへの些細な復讐は、
今の私を永遠の秘密にする事。





今年もあなたが生まれた夏が来た。
誕生日おめでとう。


夏は嫌いよ。
暑苦しいから。


でも、あなたが生まれた夏は………
心の季節の変わり目を上手に悟らせる。



あなたが生まれ、
私に出会い、
通り過ぎた過去を懐かしむ季節。




今度、あなたにまた巡り会う運命があるなら、
約束通り、私のおじいちゃんになってね。



あなたは私を愛せばいい。

私はあなたに無邪気な心を向けて、
愛を知る事でしょう…







END




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