この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ネムリヒメ.
第6章 ホットミルク.
「バーカ………」
渚くんがアタシを見つめたままそっと微笑む
「そんな顔してんのに…強がんなよ…」
「っ…!!」
ダメだ…
そんな優しい声で彼にそれ以上言われたら、涙が溢れそうだった
顔をあげて渚くんの腕にコトンと額を押し付ける…
目の前が彼の匂いでいっぱいになって、胸が締め付けられた
「…泣けばいいのに」
「………うるさい…」
涙が零れて声がかすれる
「…我慢すんな」
「………」
もう泣いてるの知ってるくせに…
彼の温かい手がアタシの頭をそっと抱き寄せる
なにも聞かない彼の優しさが心地よかった
その優しさも体温も彼の全部が心地よくて、だんだん胸が苦しくなって嗚咽が込み上げる
「…っ……ホットミルク…飲みたい……」
彼の腕にすがり付くように顔を寄せ
なかなか素直になれないまま、精一杯のワガママを呟く
「ん…」
彼は一言だけ返事をすると、アタシが落ち着くのを見計らってソファーからゆっくり立ち上がる
涙の跡が光るアタシの頬を拭うと、彼はそっとアタシの手を引いた