この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ネムリヒメ.
第7章 知らない自分.
「ゴメンね、出かける前で忙しいのに」
「ん、大丈夫♪ ちーちゃんならいつでもやったげる♪ だからいつでも言って」
「うん、ありがとう」
優しい彼の笑みに思わず笑顔を返す
時々、可愛い可愛いと言いながら楽しそうに髪を巻いていく彼
リップサービスだと思うけど、女の子に"可愛い"というセリフには、けして悪い気持ちにはならないものだ
ましてや、葵くん並みの美男子にそう言われたなら、たぶん世の中の女性は全員浮かれると思う
"チャラいけど腕は確かだから…"
聖くんの言葉を借りるわけじゃないけど、腕はいいし、かっこいいし、優しいし…
葵くんモテるんだろうな…
しかし、そんなコトを考えていた矢先
突然、右側のサイドの髪を手に掬ったとたん、葵くんの表情が雲って動きが止まった
「うわっ…」
葵くんはそう言ってアタシの頭に額を押し付ける
「葵…くん!?」
驚いて鏡を見ると、顔を上げて眉を寄せている彼と目が合った