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ネムリヒメ.
第7章  知らない自分.



「ゴメンね、出かける前で忙しいのに」

「ん、大丈夫♪ ちーちゃんならいつでもやったげる♪ だからいつでも言って」

「うん、ありがとう」


優しい彼の笑みに思わず笑顔を返す


時々、可愛い可愛いと言いながら楽しそうに髪を巻いていく彼

リップサービスだと思うけど、女の子に"可愛い"というセリフには、けして悪い気持ちにはならないものだ

ましてや、葵くん並みの美男子にそう言われたなら、たぶん世の中の女性は全員浮かれると思う

"チャラいけど腕は確かだから…"

聖くんの言葉を借りるわけじゃないけど、腕はいいし、かっこいいし、優しいし…

葵くんモテるんだろうな…


しかし、そんなコトを考えていた矢先
突然、右側のサイドの髪を手に掬ったとたん、葵くんの表情が雲って動きが止まった


「うわっ…」


葵くんはそう言ってアタシの頭に額を押し付ける


「葵…くん!?」


驚いて鏡を見ると、顔を上げて眉を寄せている彼と目が合った



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