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ネムリヒメ.
第8章 雨.
「…転ぶなよ」
そう言って、濡れないようにと自分のジャケットを肩にかけてくれた彼
「ありがとう」
そう告げて赤い顔のままガシャンと大きな屋敷の門を開けると、後ろから彼に手を引かれた
驚いて振り返ると目の前に渚くんの綺麗な顔があってびっくりする
「千隼、そんな顔して家に入んなよ…」
「っ…!!」
顔近いっ…
心臓が…慌ただしく騒ぎだす
もしもし!? 逆効果なんですけど…
「それから、お前に良心があるなら雨脚強くなったら傘持ってきて…
…お前の食いたいケーキ、壊滅するから」
「ぁ、はい…困ります」
そこは素直に返事を返す
お土産のケーキの壊滅は避けたい…
アタシはここで車をガレージにしまいにいく彼と別れて、濡れないように玄関まで急いだ
屋敷の庭は一面手入れが行き届いた芝生が敷かれていて、玄関までの道には石畳が敷かれている
庭の木々の濡れた深い緑がとても綺麗だった