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ネムリヒメ.
第8章 雨.
「ったく、おい!! どこ見て歩いてんだよ…」
「っ………ごめんなさ…」
「……どけ」
っ…!!
信じられないような冷たい言葉を上から吐き捨てられる
できることなら今すぐそうしたいけれど、痛みと恐怖でカラダが動かない
すると、彼はなかなか動こうとしないアタシの様子に痺れを切らしたのか、大きなため息吐きながらしゃがみこんでアタシの顔を覗きこんだ
「…立てねーのかよ?」
「っ……」
何も言えないでいると、彼はアタシの顎をグイっと持ち上げる
なっ…
怖くて声が出せなかった
「お前、ここらへんじゃ見ないオンナ…どっからきた?」
鋭い目で睨まれて、ビクリとカラダが萎縮する
まさに蛇に睨まれた蛙のようにカラダがすくんで、その間も雨に打たれて濡れたカラダはどんどん冷えていく
「…あの…っ」
アタシは絞り出したような小さな声で屋敷の方を指差す
「はぁ!?」
すると、アタシの震える指先が向く先を確認した途端、彼の表情がどんどん険しくなっていった