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ネムリヒメ.
第8章  雨.



な…に……!?


「チッ……!!」



彼は思いきり舌打ちをするとアタシの手を掴み、グイっとカラダを引っ張りあげた



「った……!!」


無理やり立たされ、ふらつくカラダに激しい痛みが襲ってくる


そんなアタシの様子にも構うことなく、そのまま手首を掴んで引っ張る彼…

なんなの…!?

誰!?

怖い!!


「ゃっ…離して!!」


手を振りほどこうと、身を捩ってできる限り抵抗を試みる

しかし、

「…来い!!」

「…っ…嫌!! 離して!!痛い!!」


力でなど敵うわけもなく、強く掴まれた手首が痛くて声をあげるが、それはまったく彼には届かない

傷になって血が滲んだ足元は覚束ず、全身が冷えと痛みで悲鳴をあげる



助けて…渚くん…





っ……


涙の滲む瞳に映る置き去りにされる傘…






話すことも、立ち止まることも許されず、

アタシはそのまま傷だらけのカラダを無理やり引っ張られ、屋敷まで連れ戻されるように腕を引かれた…





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