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ネムリヒメ.
第8章 雨.
温かい彼の腕に抱き止められて、全身の力が抜ける
ふかふかのタオルの上から感じる渚くんの温もりに緊張の糸が切れて、涙が込み上げてきた
タオルで濡れた髪の水気を押さえるように抱き寄せられ、胸がつかえて声がでないまま涙だけがぽたぽたとおちる
震える手で彼のシャツをキュッと掴むと、そこへ温かい手が添えられた
直に感じる渚くんの体温に涙が大粒にかわる
「…っ、聖…コイツ震えてるから すぐ風呂に入れてやって」
「うん、ちーちゃん……」
聖くんは渚くんにもタオルを渡すと、渚くんのシャツを掴んだままのアタシの手をそっととった
「っ…やばっ!!」
体温を失ったアタシの手に触れた途端、聖くんの手がビクリと震えるのがわかる
「ちーちゃん、風邪引いちゃうからお風呂いこ…部屋まで歩ける!?」
「ん…」
渚くんから離れ、何とも言い難い空気が渦巻く玄関をあとにする
心配そうに顔を歪める聖くんに抱き抱えられるようにしてアタシは部屋へ戻り、まっすぐバスルームへと連れていかれる
聖くんはバスタブに急いでお湯をはると、そのままシャワーの蛇口を思い切りひねった
「っ!! 聖くん!?」
ザーっという音とともに温かいお湯が上から降ってくる
そして彼は冷えきって震えるアタシのカラダをそっと抱き締めた