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ネムリヒメ.
第8章  雨.



腰で円を描いていた彼の手が、腰からお尻に滑り降りる

尾てい骨の辺りを撫でられ、背中がゾクッとしてカラダの奥が甘く疼く

鼻から抜けていく くぐもった甘い声は部屋に絶えず響く雨の音に掻き消されていった




しかし…





「いっ…たあ…!!!!!」









…ゲシッ




「ぐはっ…」




突然部屋に響く雨音をかけ消すようなアタシの悲鳴と、それに続く鈍い音と渚くんの苦しそうな声…


驚いて目を開くとソファーから転げ落ちたと思われる渚くんが脇腹を抱えて苦しそうにしている


「っ…!?」

「お前…っ」

「ええっ…!?」

「ええっ、じゃねー」


そこへ、コントかこれは!!というタイミングでコンコンと扉を叩く音がして

「ちーちゃん♪ 消毒と絆創膏持ってきたよー」

と、葵くんが入ってきた


「っ…どうしたの!?」


アタシと渚くんのただならぬ様子に首を傾げる葵くん


「くはっ…葵…助け…」


渚くんが葵くんに手を伸ばすと、窓の外を雷光がはしった


「っきゃあ!!」


ピカッと急に差し込む光と大きな音に悲鳴あげるアタシ


「ちーちゃんったら怖がりなんだから。大丈夫だよ、落ちないから」


葵くんがビクビクするアタシを見て笑う

そんなコト言われても、怖いものは怖いんです!!

しかし、次の瞬間、部屋の電気が落ちて

今度は

アタシでもなく…

渚くんでもなく…

葵くんの悲鳴が部屋中に響き渡った




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