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ネムリヒメ.
第9章 イチゴ味の夜と….
「っ!! お前…」
耳慣れない声に荒い呼吸のまま顔をあげる
「はぁっ…」
すると涙でぼやけた視界に映りこんだのは、昼間ぶつかったあの彼…雅くんだった
「おいっ!!」
「はぁっ…はぁっ…苦しっ…んっ」
息を乱して悶えるただならぬ様子に驚いた彼はしゃがみこんで、アタシの肩に触れようとする
しかしその瞬間、アタシのカラダがビクンッと震えてこわばった
「っ…!」
それに気がついた彼は途中で手を止め、リビングに向かって大きな声をあげる
「葵っ!!」
「…みっくん、なに騒いでんのー? ゴキブリなら聖に言ってよー、オレ嫌いだよー」
「バカ、早く!!」
彼の大きな声に葵くんが階段を登ってくる足音が聞こえる
「って…ちーちゃん!?」
葵くんは息を乱して苦しんでいるアタシの姿を見つけると駆け寄ってきて抱き締める
「ちーちゃんっ!!」
彼の匂いと体温が汗で冷えたアタシのカラダ包み込む
「葵く…はぁっ…苦し…っん…は」
「大丈夫、落ち着いて…息ゆっくり」
「んんっ…」
優しく頭を撫でながら背中をさすってくれる葵くん
彼の大きくて温かい手がアタシに安心をもたらしてくれる
………
「はぁ…っ…はぁ…っ…」
しばらくしてアタシがようやく落ち着きを取り戻した頃には
そこに彼…雅くんの姿はなかった