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ネムリヒメ.
第9章 イチゴ味の夜と….
「ひとりじゃ眠れないんだもん…」
クッションに顔を押しつけながらそう言うと、どこか拗ねたようなくぐもった自分の声が聞こえた
い…言わなきゃよかった
これじゃ まるで…
朝の静かな部屋に、窓の外から透き通る水滴のような鶯の声が聞こえた
素直に言ってみたのはいいものの、どうしていいのかわからなくなってそのまましばらく黙るアタシ
すると隣からシーツの擦れ合わさる音がしてベッドが軋んだ
「千隼、こっち向けよ…」
「やだ…」
すぐ近くで聞こえる渚くんの声に、こんな時どんな顔していいかわからなくて、少しだけ顔を横にして彼を見る
っ…!!
肘をついてカラダを横に起こした渚くん
アタシを見つめる彼の切れ長で漆黒の目には絹のような鮮やかな艶があって、少しはだけたガウンからはアタシの爪痕がついた肌がのぞく
眠いせいなのか、その気だるそうな感じのせいで、普段からある彼の色気は3割り増しだ
故に…甘い
空気が甘いーっ!!!
はぁっ…ダメだ
その光景は、寝不足のアタシの心臓には負担が大きすぎる
アタシは再びクッションに顔を押しつけた