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ネムリヒメ.
第11章  体温計と風邪薬.



「だから葵、体温計!! あと風邪薬!!」

「えー…」

「えー、じゃねーよ!! 頭いてーのにイライラさせんな!!」


雅くんはしびれを切らせて、思いきり葵くんを睨みつける


「みっくん、それ女の子の前でやめてよ、洒落になんないくらい怖いって」

「はぁ!?」


雅くんの鋭い視線がアタシに向く


「っ……」


アタシを威嚇するように睨みつける彼の顔は、綺麗に整った容姿故に攻撃性がとてつもなく半端ない


「葵くんも雅もいい加減にして」


彼の眼差しにビクッと肩をすくめるアタシに気づいた聖くんが低い声をあげた


「っんだよ聖!! …どいつもこいつもそいつに構いすぎんだろ!! 楓さんの妹だからって甘やかしてんじゃねーよ」


「っ…!!」

キっツいな…

"楓さんの妹だからって"…

楓の妹…それは紛れもない事実だ

なのに、彼の発した言葉に胸に刃物を突き立てられたような痛みが走る


「看病だか何だか知らねーけど…」


イライラが最高潮に達した彼の容赦ない攻撃的な言葉に泣きそうになる


「っ、雅!! やめて!!」


唇を噛み締めるアタシの隣で聖くんが声をあげて立ち上がる

視線が痛い…

胸が痛い…


「ったく、お前ら揃って目の下に隈つくってなにやってんだよ、ぶっ細…」




もう、いい!! やめて!!

これ以上、ここにいたくなかった


ガタンと音を立ててイスをひく

しかし、その時だった…






「雅……黙れ」





彼がすべてを言いきる前に、渚くんの威圧的な声がそれを遮った




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