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ネムリヒメ.
第11章  体温計と風邪薬.


…………


「ゴメンね、ちーちゃん
ついててあげたいけど、オレ、どーしても今日は朝からお店立たなきゃいけなくて…」


出掛ける支度をしてから、体温計と風邪薬を持ってきてくれた葵くん


「ん…ありがとう」


「聖とふたりにするのがすっごく心残りでならないんだけ…」

「葵くん早く行きなよ」

「うっさいな聖、邪魔しないで」

「ちーちゃん苦しそうだから早く離れて」

「……」

「無視すんな」

ゲシっ

「っ痛!!」


アタシに抱きつきながら聖くんとやりあう葵くんの腕のなかにいると、上から渚くんの声がする


「お前…絶っっ対寝てろよ」

「もぅ…誰のせいだと…ひっ!!」


彼の声に少し口を尖らせて顔をあげる…


が、


うぁ…顔が怖いです

すみません、ごめんなさい

間違えました


「わ…かりました」


一瞬迷ったけど、なんとも言えない彼の表情に素直にそう返事を返す

その返事に満足したのか久しぶりに見る彼の笑顔


「ん…午後にはいったん戻るから、じゃあな…」

「ちぃ…ちゃん…っ…じゃ…ね…」



葵くん…わき腹押さえてるけど…

その隣で聖くんがいつか見た黒い笑顔で笑っている


「いってらっしゃーい♪」


そんなことお構い無しでヒラヒラと手を振る聖くんに見送られて、彼らは出掛けて行ったのだった……


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