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ネムリヒメ.
第13章  シャンパン☆ストロベリー.



「だけど、他人のお膳立てだけじゃカッコ悪いから…はい、これ…」

「え…!?」


そう言って差し出された彼の手のなかには、さりげない大きさの可愛らしいブーケのような花束


「これはオレからね♪」

「……っ!!」


潮風に乗って花の甘い香りと彼の香水の匂いが鼻をくすぐって、アタシの胸をトクンと大きくならす


自分の言ってるコトわかってます!?

ぜんぜんカッコイイんですけど…


この心臓がキュンと狭くなるような感覚……

ヤバい…

そして追い討ちをかける、夜景を背にした彼の例の甘い笑顔


「ありがと…」


今夜ばかりは異国情緒漂うロマンチックな雰囲気が背中を押しまくるのもあって、彼に心臓ごとわしづかみにされてノックアウトされそうになる…


「もう、なにしてんの?」

若干放心気味のアタシに葵くんが笑う


「ほら…」


「えっ、わ…」


アタシの手を手繰り寄せる彼

気がつけば葵くんの腕のなかに閉じ込められてて、

見上げれば目が合って、長い睫毛を揺らして優しく微笑む彼の顔


「それにね、ちーちゃんのコト少し外に連れ出してあげたかったんだよね…。タイミング、バッチリじゃない!?」

「え…」


タイミングって言われても…


「ちーちゃん、ダメだよ? 考えごともいいけど、思い詰めたり度が過ぎると、人間はパンクしちゃうから…

抜くときにちゃんと抜いてあげなきゃ笑えなくなるよ」


「…っ…!!」


バレてる…

帰ってきてちょっと顔合わせただけなのに…



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