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ネムリヒメ.
第13章 シャンパン☆ストロベリー.
「なにこれ…ちゃーんと出かけるって連絡したじゃん…」
ご丁寧にこんな留守電を入れてくれるのなんてひとりしかいないっての…
名前を見なくたって葵にはすぐわかった
「こんな留守電、聖しかいないってば…」
念のため確認すると画面に現れる彼の名前に葵は苦笑いを浮かべる
「まーったく、お子様なんだから…」
そして葵は残りの着信をすべて、相手の名前だけを確認していく
「あぁ…すっかり忘れてた」
…そこに名を連ねるのは全部別の人間
そのほとんどが業界関係者…ならまだしも
彼の電話の画面に映し出されているのは女優、モデルといった女性の名前
「………」
"毎日で侍らせてるそこらへんの女の子たち"、か…
聖にこないだ言われた言葉が頭に過る
「まったく、あのガキんちょ…言ってくれるよね、否定はしないけど」
葵はそう呟きながら、眺めるように着信を確認していく
しかし、葵はそのままメールも開かなければ、留守電も聞こうともしなかった
その代わりに、スッと表情を消した彼の口からため息だけがこぼれる
「あーあ……ゴメンね、
…なんか知んないけどオレ…今、彼女で忙しいみたい」
葵は誰もいない空間にポツリとそう吐き捨て、携帯をテーブルの上に伏せるように置と、グラスに残っていた温くなり気の抜けたシャンパンを飲み干す
「っ…マズッ…!!」
そして、ソファーから立ち上がると大きく背伸びをして、ベッドで静かに眠る千隼の顔を覗きこんだ
穏やかな寝顔をたてる彼女の髪にそっと触れて優しい笑みを浮かべる
「おやすみ…」
葵はフッと息を吐くと、そのまま深夜のバスルームへと足を向けた