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ネムリヒメ.
第15章 イチゴタルト.
強引、なげやり…
でも…
「オレは、心を揺らすのはそれからでも遅くないと思うから…」
「……!!」
アタシを見つめたまま綺麗に微笑む彼の言葉に、心臓をトンっと衝かれたようでハッとすると、瞼に溜まりきらなくなった滴が零れ落ちた
「…まあ、オレの持論だからあてにならないけど…ね
それにこれは、手ぇ出してるオレが言うことじゃないけど、
それでもなにか理由が欲しくなったら、今は、ひとりじゃ眠れないせいにでもしといて…」
…葵…くん……
葵くんは頬を伝った涙を綺麗な指で掬いながら、フッと微笑む
「さ、帰ろ!? オレも一緒に食べるから、イチゴタルト」
「ん…」
そう言って笑う彼は運転席に移ると静かに車を滑らせる
甘い物は苦手だって……なのに
こんなにも甘く優しい葵くんはズルい…
アタシは膝の上で絡められたままの彼の指を感じながら窓の外を黙って見つめていた