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ネムリヒメ.
第15章 イチゴタルト.
渚は部屋に戻るなりバルコニーの扉を開くと、もう一本タバコに火をつけた
吹き込む冷たい夜風がなんだか心地がよかった
壁に気だるそうにもたれ掛かり、フッと煙を吐き出し目を細める
「バーカ、余裕なんてねーよ…」
ぽつりと呟きながら長い指で灰を落とせば、目に留まるのはデスクにある灰皿で…
そこに潰されたタバコの吸殻の、普段より明らかに多いその量に思わず浮かぶ苦笑い
「…吸いすぎ……」
らしくねぇな…
胸のなかで思わず失笑する
高い天井を仰ぎながらゆっくり息を吐き出すと、目を瞑る
すると、突然部屋の扉が叩かれた
「………ん」
タバコをくわえたまま、ネクタイ外しながら視線だけを扉へ向けると聞こえてくるのは明るい声で…
『オレ、オレ♪』
「………!!」
『ナギ、帰ってるー!?』
「…帰ってねぇよ」
『またまたぁ♪』
「はぁ……」
開いた扉の先にいる人物
その人物は、めんどうそうに肩を落とす渚とは打って変わり、実に爽やかな笑顔を浮かべていた